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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第142回アカアシシギ

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第142回 2013/9/01
アカアシシギ
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アカアシシギ

142)アカアシシギ 「チドリ目シギ科」

    英 名:Common Redshank
    学 名:Tringa totanus
    漢字名:赤脚鷸
    大きさ:28cm

飛来数が非常に少ないと思われている、シギの仲間、アカアシシギをご紹介しましょう。名前の通り脚が赤い(実際には橙色)シギで、他の多くのシギ同様、日本より高緯度の北部で繁殖し、低緯度の南部で越冬します。国内ではその移動の最中、春と秋に立ち寄る旅鳥です。国内に立ち寄るアカアシシギは、ロシアのツンドラ地区で繁殖、東南アジアで越冬します。世界的には、繁殖地は、地中海沿岸からユーラシア大陸のツンドラ地帯であり、また越冬地は、紅海、ペルシャ湾から中国南部、東南アジアに及び、大変に広い生息圏であるようです。

ただ、例外的に一部が北海道東部の野付半島、風蓮湖などで繁殖していることが知られています。NHKで撮影したフィルム、「野付半島のアカアシシギ」です。アカアシシギの求愛行動の様子がよく分かる撮影です。このフィルムでお分かりのように翼の裏側、次列風切羽、背中の白さが目立ちます。他方で、冬には、先島諸島で越冬個体が観察できるといわれています。他のシギの仲間の様に、北極圏から赤道を越えるような長距離の渡り行動ではなさそうです。

さて、本種と同じように脚の赤いシギにツルシギがいます。特に冬羽ではよく似て見えます。ツルシギの方が、脚がより長く、嘴も細く長い、2種類を並べますとツルシギの方がかなりスマートであることが分かります。ただ別々に見た場合の注目すべきポイントは嘴です。両種類とも嘴の基部は赤いのですが、上下ともに赤いアカアシシギに対して、ツルシギは下嘴だけが赤いのです。下の写真で、嘴基部の色合いをご確認ください。

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旅鳥としての飛来数は少ないと書きましたが、どうも年々飛来数が減少しているのではないかと思われます。そのせいでしょうか、環境省レッドデーターブックで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。日本のシギ・チドリ好きのバーダーにとっては、アカアシシギと聞けばまず観に出かけたくなる存在です。他方で、アカアシシギの生息地区はユーラシア大陸の全域にわたります。国内以外でも、希少野鳥なのでしょうか。

ある年の9月、香港米埔環境保護区で多くのシギの仲間を見かけました。その時に一番個体数が多かったのがアカアシシギでした。国内では、まず見かけることが困難であり、いても一羽だけの行動を観察してきました。ところがここでは数羽から十数羽の小さい群れがあちこちで観察できたのです。嘴基部がまだ赤くなっていない幼鳥が多かったせいもあり(下右側の写真を参照ください)、当初は種類が分からず困惑したものでした。ただよくあることですが、それがその年だけの例外的な出現なのか、例年の傾向なのかは残念ながら確認できておりません。下の写真がその米埔環境保護区で撮影したものです。

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上左の写真で、最先端と最後尾のアカアシシギが翼を広げています。上で述べましたように、翼下部と次列風切羽が白いこと、ご確認いただけます。上面、翼の間の背中も白いのですが、残念ながらこの角度では見ることができません。

あるバーダーが、「シギの信号三兄弟」と笑い話風に言っておられました。この赤アシシギと他に、青アシシギ、黄アシシギを指しているようです。青(アオアシシギ)と黄色(キアシシギ)は海辺や干潟で季節になれば容易に観察できるのですが、この赤だけはなかなか機会が容易には訪れてくれません。信号三兄弟に出会えたら、バーダー入門レベル卒業ではないでしょうか。

 

(注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 



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