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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第144回コガラ

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第144回 2013/11/01
コガラ
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コガラ

144)コガラ 「スズメ目シジュウカラ科シジュウカラ属」

    英 名:Willow tit
    学 名:Parus montanus
    漢字名:小雀
    大きさ:13cm

前回は、ヒガラをご紹介しました。ヒガラと同じジュウカラの仲間、コガラを今回は取り上げます。コガラ(小雀)といっても、ヒガラ(11㎝)よりは大きく13㎝程の体長です。ヒガラ同様、山に住む野鳥で、世界的にはユーラシア大陸中・高緯度地区と樺太、九州以北の日本列島に広く分布しています。残念ながら、生息しているはずのヨーロッパでこのコガラを見かけたことはありません。また、朝鮮半島や日本列島以南の中国、東南アジアには生息していません。

コガラは、頭頂部にまるでベレー帽の様に黒い斑があります。また嘴基部の下側に黒い斑が入りますが(嘴基部の黒い部分の全くない個体もいます)それが、ヒガラやシジュウカラの様に顎伝いに顔を取り巻くようになることはありません。

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学名に付いている、montanusとは「山」の意味で、針葉樹林から広葉樹林に至る様々な森林にすむ、留鳥です。冬になると都市型の公園でも、山にいたヤマガラ、ヒガラ、ゴジュウカラなどは目にできることもあるのですが、このヒガラだけは見かけたことはありません。タイトル写真や上左の写真(軽井沢野鳥の森にて撮影)でもお分かりのように、雪が降ってもその場にとどまる個体もかなりいるのです。また、他のシジュウカラの仲間と異なるのは、木に自分で巣穴を掘って営巣することです(他のカラ類は、既存の穴を巣穴として利用します)。ただ比較的穴の掘りやすい枯れ木を選択するといわれています。後ほどご紹介します、コガラそっくりのハシブトガラは、自分で巣穴を作ることなく、他のカラ類と同様、開いている穴スペースを探して巣とするといわれています。

雑食性で、昆虫類、節足動物類や植物の種子を餌とします。かなり固い殻をもつ種子でも外殻を割って中の実を採りだすことができるといわれています。更には昆虫類を捕捉し、穀類と混ぜて団子状にして樹木の割れ目や、中に貯蓄することもするといわれていますが、残念ながら貯蓄する場面にも、貯蓄したものを食べる場面にも遭遇できておりません。上右の個体は(長野県蓼科高原にて撮影)恐らく木の幹に付いている昆虫を探しているところだと思います。

さて、下が、フィールドではコガラとの識別が困難といわれている、ハシブトガラです。上の三枚の写真と比較しても、相違点を直ちにあげることはできません。北海道ウトナイ湖畔で撮影したものですが、私の様に本州のコガラしか知らないものには現場での識別は意外と簡単です。声が全く違うのです。既に時期は秋で囀る季節ではありませんが、地鳴きのレベルで相違はよく聞きわけることができます。また本州以南にお住まいの方は、悩む心配はありません。このハシブトガラは北海道にしか生息していないのです。

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一般的なコガラとハシブトガラの識別点として、コガラは嘴も脚もハシブトガラと比べて細く華奢に見える、頭部のベレー帽状の部分に光沢がないといわれていますが、同一の光線の条件下で撮影したものでない限り判定は難しいように思われます。

俳句の上では、コガラは夏の季語(初秋とする説もあります)とされています。

小林一茶の詠んだ二句。

一本の木に鈴なりの小雀かな

朝夕や峯の小雀の門馴るる

どうも一茶の生きた江戸時代の信濃(長野県)では、コガラがそれこそ「鈴なり」となるほど生息していたようです。一茶はまた、ゴジュウカラやシジュウカラに関する句もあり、カラ類に対する関心はかなり深かったようです(江戸時代の作家、滝沢馬琴も、野鳥に関する造詣は大変深かったようですが)。また、かなり住居のそばまで山奥から朝晩にはやって来ていたことがしのばれます。

枝かへてまた枝かへて小雀かな    石井みや

コガラが、敏速にも、目まぐるしくも移動しながら元気な様子を見せてくれているようです。コガラの元気さ以上に、それを詠む句人の若い感受性が感じられます。

山に行かないと見ることがほとんどできないコガラです。この冬、山に行かれる機会があれば是非コガラを探してみてください。葉の生い茂る春から秋までは、すぐ側に来てくれてもはっきりとは見分けられないのですが、葉が落ちた冬であれば、楽にベレー帽が目印のこのコガラが見つかることでしょう。

 

 

 

(注)写真は、画像上をクリックすると拡大できます。

 



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