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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第65回ルリビタキ

第65回 2007/4/01
ルリビタキ

65-1-300
ルリビタキ♂
(63) ルリビタキ
   「スズメ目ツグミ科ルリビタキ属」(注)
    英名:Red-flanked Bushrobin
    学名:Tarsiger cyanurus
    漢字名:瑠璃鶲
    大きさ:14cm

スズメほどの大きさ。日本では、四国から本州以北に、繁殖期の5月から夏場にかけては、亜高山帯のダケカンバ林や針広混交林に生息、しかし冬場になると低地に降りてきて越冬する、漂鳥です。なんといってもオスの頭部から背中にかけての瑠璃色が鮮やかです。個体数もそう多くはなく、夏に山登りにでも出かけなければ遭遇する機会もあまりないことから、都市部のバーダーにとっては里山に降りてくる冬の越冬期間が身近で観察できる絶好の機会となります。

世界的な生息域としては、ユーラシア大陸に限られ、かなり高緯度のタイガ地帯やヒマラヤ地方で繁殖し、越冬には台湾を含む華南地区から南側の東南アジアを選んでいるようです。その意味では、ベルギー人であったモーリス・メーテルリンクが戯曲、「青い鳥」で脳裏に描いた鳥は、おそらくこの「ルリビタキ」ではなく「オオルリ」であった可能性が大きいといえます(メーテルリンクは1911年にノーベル文学賞を受賞しています)。オオルリも青い色のとてもきれいな野鳥ですが、日陰に入るとその青みが背景に溶け、黒っぽく見えてしまいますが、ルリビタキの青色はもっと明度が高く、日陰の中でも鮮やかに輝きます。ただメスの背中は茶色で、ずっと地味。ジョウビタキのメスと同じような色です。ただ上尾筒部分だけに青みを帯びさせています。上はオスの写真ですが、おそらく2年目を迎えた若い固体で、もしこの個体が来年同じ場所に来てくれたなら、成鳥オスとして、この写真以上に輝く青色を誇っていることでしょう。

英語名の最初の部分、Red-franked とは、赤いわき腹という意味ですが、写真でもお判りの通り、お腹と羽の間の部分は雌雄ともに橙色をしています。わき腹の橙色と、尾の青色で、メスであってもルリビタキであることが判別できます。また、英名で最後の Bushrobinを Bluetailともいうことから、中国では、この二番目の英語名を直訳して、ルリビタキを『紅脇藍尾鴝』と名付けています(1998年版 中国鳥類図鑑)。面白いことに、台湾では、日本語の学名に腹部の柿色の記述がないことを考慮したのでしょうか、または、日本野鳥の会が編集指導に当たっているからでしょうか、より簡略な『藍尾鴝』としています(1990年版 台湾野鳥図鑑)。

今年のさいたま市秋ヶ瀬公園には、オスメスそれぞれが越冬してくれました。越冬期間中、それぞれは番(ツガイ)となることはなく、他のヒタキの仲間同様、雌雄独立してなわばりを持ちます。事実かなり離れた場所で見かけました。雌雄それぞれが偶然越冬した2007年冬の秋ヶ瀬公園は、バーダーにとってはまったく運の良い時期だったようです。観察する限り、冬場のなわばりは最大ほぼ500メートル四方程度と思われ、一箇所で見かけた場合には、そこで待っていればものの30分もしないうちに戻ってきてくれました。

観察していますと、前や上を向くキビタキとは異なり、枝先に止まり下を向くことが多く、地上にクモ類や小さい昆虫を見つけると飛び降りてこれを採餌します。下の写真のメスは、小さめのガガンボか蚊の仲間を捕らえて飲み込もうとしているところです。動物性の餌だけでなく、木の実なども食する雑食性だといわれています。

ルリビタキ
ルリビタキ♀

残念ながら囀りを聞いたことはありませんが、ホオジロのさえずりに良く似ているそうです。他方で冬場は、ジョウビタキと同じような、「カツ、カツ、カツ」とか「ヒツ、ヒツ、ヒツ」と聞こえる地声で鳴いています。








ルリビタキは、夏の季語。

 
ふたたびの道にもゐたり瑠璃鶲 八木林之助

ルリビタキが、なわばりにとどまることをよく観察しています。

 
沢を吹く 歯朶の嵐に 琉璃鶲  山野春潮

山間部の日陰に生息することが歯朶に託して歌われています。

桜の咲き始めたこの時期から、次第に繁殖地の山間部に戻って行きます。今年だめでも、また来年のチャンスがあります。一度見たらすぐに見分けることのできる日本版青い鳥をぜひ探してみてください。

(注)平成5年(1993年)の「世界鳥類和名辞典」(大学書林・山階芳麿著)では、ヒタキ科ツグミ亜科コマドリ属と分類されていますが、平成12年(2000年)の日本鳥類目録第6版にて、ツグミ科ルリビタキ属に分類し直されています。この点は、山階鳥類研究所の平岡考さんに教えていただきました。ここに御礼申し上げます。

注:写真は、画像上をクリックすると拡大できます。