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第86回 2009/1/05
カンムリカイツブリ

カンムリカイツブリ
カンムリカイツブリ

(84) カンムリカイツブリ 
「カイツブリ目カイツブリ科カンムリカイツブリ属」
    英名 : Great Crested Grebe
    学名 : Podiceps cristatus

    漢字名:冠鳰

    大きさ:56cm


カンムリカイツブリ: 日本で観察できるカイツブリの仲間、カイツブリ目カイツブリ科に属する鳥は全部で僅か5種類です。第26回の徒然野鳥記でご紹介した、カイツブリを筆頭に、ミミカイツブリ、アカエリカイツブリ、ハジロカイツブリとそしてこのカンムリカイツブリです。このなかで、カンムリカイツブリは最も大きく、また首も長い種類です。他の4種類のカイツブリが、首をすくめたように見えるのに対して、このカンムリカイツブリは、通常長い首をまっすぐに伸ばして、あたかも凛としたたたずまいで水面を泳ぎます。

近年、自然環境の劣悪化に、野鳥もその絶対数が減少しているのではないかと危惧されることが多くなっています。しかし、ユーラシア大陸北東部から越冬にやって来る冬鳥、このカンムリカイツブリは、次第に飛来数が増えてきています。カンムリカイツブリを初めて観察したのは、大東京の水源のひとつ、村山貯水池(多摩湖)でした。2月下旬、早くも夏羽に衣装を換えた、カンムリカイツブリが数十羽の群れで悠然と湖面を泳ぐさまに見とれてしまった記憶があります。1970年代初め、まだカンムリカイツブリは、あまり観察されることのない希少種でした。

現在、私の住まいに隣接した埼玉県戸田市の人造湖、彩湖でも毎冬20~30羽、時としてそれ以上の群れが容易に観察されます。湖だけでなく、東京湾の三番瀬でも冬になると必ず見ることができます。全国的に、飛来する場所が増加し、同時に飛来数も増加しているようです。また、冬鳥と区分けされているとはいうものの、1972年には、青森県下北半島の小川原湖沼群で初めて繁殖が記録され、その後1990年に大阪府高槻市で、また翌1991年には琵琶湖でも繁殖が確認されています。また今年(2008年)には東京都下、多摩川で越夏個体が観察されています。うかつな予測はできませんが、将来的には、日本で繁殖し、渡りを止める個体数が増えるのかもしれません。ちなみに、より高緯度にある英国では、散在するものの留鳥です。

世界的な分布では、南北アメリカ大陸には棲息せず、ユーラシア大陸に広く、またアフリカ大陸北部に点在しているようです。

カイツブリの仲間は、カイツブリ以外の4種類は、すべて淡水系(川、湖、沼)にも、海水系(湾岸部、河口部)にも飛来し採餌します(カイツブリは淡水系、汽水系のみです)。しかし、営巣、育雛の繁殖活動は、すべて淡水系で営まれるようです。また、カイツブリ以外の4種類は、夏羽と冬羽の違いが大変大きいのが特徴です。

タイトル写真は、典型的な夏羽のカンムリカイツブリです。撮影したのは4月の上旬、銚子港でした。頭頂部の、黒褐色の羽が長くなり、冠羽を形成しています。また、眼の周辺は白いのですが、その後ろ側、耳羽は大きく長く、輝くような赤褐色となり、その先端部は黒く縁取りをしているかのように見えます。ご覧の通り虹彩は赤く、首の前面は白、後面は黒とコントラストをなしています。体上面は黒褐色で、腹部との間は薄い茶褐色です。なんとも派手な衣装、そのものです。

それに対して冬羽は、まったく地味なものです。下の写真は1月の彩湖(埼玉県)で撮影したものです。頭頂部の黒褐色の羽は短く、冠羽と呼ぶべきかどうかさえ疑問です。眼の周りだけでなくその後ろも白く、またご自慢の長い首もほとんどが白です。体上面も薄褐色で下面は白です。ですから、冬羽のカイツブリを水面遠くに眺めますと、首の長い白い鳥といったイメージになるのです。

カンムリカイツブリ、冬羽の写真

カンムリカイツブリ、冬羽の写真

冬羽から夏羽に移行中の個体が下の写真です。冠羽はほぼ生えそろいつつありますが、目の周辺の白い部分は依然として幅広く、その後ろ側の耳羽は赤褐色の部分が映え始めたばかりです。とはいえ、体上面は黒味を増しつつあります。

カンムリカイツブリ、換羽中1
カンムリカイツブリ、換羽中2
カンムリカイツブリ、夏羽に換羽中

カンムリカイツブリは、雌雄同色です。3月に入りますと、下のような色合いの異なった個体の混ざった群れをよく見かけます。派手な方をオス、地味なほうをメスと見間違いそうです。左の個体は冬羽、右の個体は夏羽に換羽中なのです。

カンムリカイツブリ、夏羽と冬羽の混成
カンムリカイツブリ、夏羽と冬羽の混成

英国では留鳥のカンムリカイツブリですが、実は19世紀、絶滅の危機に立たされたことがあるようです。といいますのも、英名にありますように、偉大なる冠(Great Crested)が帽子や女性用下着の飾りにするため乱獲されたのです。そこでカンムリカイツブリの絶滅を防ぐために創立されたのが、かの英国(王立)鳥類保護協会(RSPB=Royal Society for Protection of Birds)だった(1889年)のです。

ヨーロッパのみならず全世界でも最も権威ある生態系の保護協会の成立の契機となったカンムリカイツブリ。国内では、冬の水辺で困難なく観察できる野鳥です。近くの広い水辺をちょっと注意して見て下さい。







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