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第75回 2007/1/05

皆様、明けましておめでとうございます。関東地方では、このお正月、天候に恵まれ、穏やかな日々でしたが、皆様お住まいの地域ではいかがだったでしょうか。ご家族とともに、健やかなお正月であったことを信じております。

昨年度から、米国ラスベガス(ネバダ州)で開催されます、全世界で最も規模の大きいコンシューマー・エレクトロニクスー・ショー(CES)が、正月の日曜日を外し、月曜日から開催されることとなり、5日(金曜日)現在未だ日本に滞在することができております。かつて、正月三日を終えますと直ちに出張していた時分から比較いたしますとビジネス環境もかなり変化してきました。

正月の大手新聞やNHKをはじめとした主要メディアがすべて年頭に取り上げていますように、今年2007年は、いわゆる「団塊の世代」が60歳の定年退職を迎える最初の年となります。このような方々へ当然支給されるであろう、退職金をめぐって、様々な投資プロジェクト、国内外のセカンドハウス、リゾートハウス提案を含めた不動産プロジェクトが、それとなく新聞の片隅に掲載されることが多くなってきています。

社会現象としての「団塊の世代」は日本だけの傾向ではなく、全世界的傾向であり、第二次世界戦争後の新生児の急増は、世界的にはベビーブーマーと称されてきました。私自身がその世代に属することからあえて申し上げますが、この世代は、新しい音楽の創造側でもあり、同時にそうした新たな規範のリズム、テンポ、メロディーを新たな音楽カテゴリーとして最初にそして広く受容する世代でもありました。

同時に、オーディオ業界に眼を転じますと、全世界的に、ベビーブーマーが学生生活を終え、企業に就職し、社会活動に従事するようになった1970年代以降が、オーディオ業界隆盛の基点でもありました。残念ながらこの世代が、子供の教育費を含めた生活維持のための出費に収入の主要な部分を当てるようになった 1980年代後半以降、オーディオ業界はピークを過ぎ、次第にオーディオ業界は、もはや電気産業における主要な地位をそれ以外の部門に譲っていくにいたりました。1990年代には、構造不況業種に認定されるという「名誉」さえ賜ったほどです。

こうして一旦は趣味として再生音楽を聴く時間を削減せざるを得なかった、いわばオーディオ業界を作り支えてきた人々が今年から徐々に自由な時間を持てる機会を与えられることになります。私は、一般に信じられているほど単純にオーディオ業界がこの2007年を契機に再びかつてのような隆盛を迎えるとは信じておりません。このほぼ40年近い歳月の間に、趣味の領域は格段に広がりましたし、また個々人を取り巻く生活環境もまったく変化しております。自分だけで決めてきたことが次第に家族単位での決済事項ともなってきていることでしょう。しかし、希望的にはかつてオーディオ機器を愛し、自分流の聴き方に自信とプライドを持っていた方々の一部が、再びこの領域で、トライする可能性が増加してくることだけは間違いないものと思われます。

「団塊の世代」のほぼ40年間に近い社会的な経験は、知的な意味でも多くの蓄積を胸中に秘めているに違いありません。何とかこの間生き延びてきた私どもオーディオメーカーも、かつてのままで今存在していることはありません。40年間近い社会的経験だけでなく、深い知的な蓄積をもったこの新たなユーザー層の皆様に、CECとしても決して引けを取ることのない、味わい深い製品を今年も発表してまいる所存です。本年発表していく製品につきましては、従来以上に皆様方の愛情あふれるご批判を賜りたく存じております。

来月には、ラスベガスでのCESのご報告、また当社とウィーン・アコーステック社の2007年度新製品開発の概要をご説明させていただく所存です。どうぞ本年もCECをよろしくご指導、ご鞭撻いただけますようお願い申し上げます。