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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第03回クロハサミアジサシ


第03回 2002/1/10
クロハサミアジサシ


(02)クロハサミアジサシ「チドリ目ハサミアジサシ科」
    英名:Black Skimmer 若しくは Razor-billed Shearwater
    学名:Rynchops niger
    全長:43cm
    翼長:107cm

嘴は長く基部がオレンジ色、先端が黒。下嘴が上嘴よりも長いのが特色。

筆者がこれまで見た鳥の中で最も印象深かった姿、形の鳥を紹介します。残念ながらこの鳥は日本には生息しておりません。北米大陸もアメリカ合衆国南部のカリフォルニア州南部からからテキサス州に至る海岸部にかなりの数で見ることができるようです。

ロスアンゼルス郊外、ロングビーチの南、パシフィックコースト・ハイウエイ1号線沿いに、サンセットビーチがあります。この1号線をはさんでサンセットビーチの向かい側にあるのがボルサチカ環境保護区。最初にこの鳥を見たのがそこなのです。

このボルサチカには淡水の沼、それに流れ込む川が中心部をなしており、カリフォルニア南部の、所謂「水辺の鳥」を、四季の全てにわたって、ほぼ全て見かけることができます。機会があれば、鳥の好きな方全てに一度足を運ばれることをご推薦いたします。

さてこのボルサチカ保護区で、最初にこの鳥を見たとき、思わず、「ラドンだ!」と心の中で叫んだものです。東宝の特殊撮影映画の1号は、『ゴジラ(1954年)』でしたが、第2号作品の『ラドン(1956年)』の方が、当時小学生であった私たちには怖く、またより迫力あるものとして好評だったように記憶しております。

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その空飛ぶ大怪獣「ラドン」が一羽だけでなく数羽の群れで次々に襲い掛かってくるかのように、夕日の綺麗な時刻に沼にかかった橋の中央部にいた筆者めがけて次々に飛んできたのです。翼長1メートルを超える大きな鳥が数羽横に広がって低くこちらめがけて飛んでくるのですからその迫力は、これまでの人生の中で最大のものでした。

日本にも数多くいますアジサシの仲間たちに極めて類似した羽の形をしていますが、どのようなアジサシより飛んでいるときの翼が「でかい」のが何よりの特徴。またこの鳥は、翼の上部が綺麗な黒であり、腹部が白というコントラストに加え、かなり大きい嘴の基部が朱色で、とても特異な色彩バランスとその大きさから他の鳥とみまちがうことはありえません。

嘴の下部が上部より長い、このハサミアジサシは、水面上を低く飛ぶとき、下嘴を水中に入れ、そこで接触する魚を捕食するという独特な捕食形式を取ります。橋の上にいた筆者に襲い掛かったのではなく、そこから更に水面まで降下し、そのまま嘴を水面に入れようとしていたのだとその後知りました。

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北米大陸の野鳥研究の大先達、Audubon氏もこの鳥をあたかも自然の生み出した最大傑作の一つであると述べているほどです。アメリカを訪問する機会のある方に、一度ボルサチカを訪れ、この鳥との出会いをうかがってもらいたいものです。(春先には特に大きな群れを作るようです)

 

注:ここで掲載しました2枚の写真は、何れもアメリカ西海岸のお住まいのluluさんとオットさんの撮影されたものです。ここでの掲載を快く了承いただき、本当に有難うございました。お二人のサイトでは、ハチドリを含む素晴らしい新大陸の野鳥を紹介されています。お勧めサイトです。(2011年4月3日)Hummingbirds & Wild Birds

注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。