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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第17回ハヤブサ


第17回 2003/4/01
ハヤブサ
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(16)ハヤブサ「タカ目ハヤブサ科」
    英名:Peregrine Falcon
    学名:Falco peregrinus
    漢字表記:隼
    大きさ:オス42cm、メス49cm

所謂、猛禽類と呼ばれる野鳥のグループに、ワシ・タカの仲間がいます。その中で、最も姿が丹精で、強靭な飛翔力を持つと称されるのがこのハヤブサ。日本版レッドリスト絶滅危惧2種に載せられるほど、生息数が減少し(一説に数百羽ともいわれる)、あまり観察することができない種類といわれています。また、この鳥は、他のワシ・タカと異なり、きわめて迅速な飛行能力で、小型の鳥を主な餌とします。(たとえばチョウゲンボウ類は、野のネズミを主な餌とします)

きっと幸運だったのでしょう。ここ埼玉県下で過去、幾度も見ることができました。至近距離で「遭遇」したことがあるのが、埼玉県川島町役場付近。ある年の冬、背の低い電柱の上にとまっているところに車で通りかかりました。恐らく運転席から3mはなかったでしょう。双眼鏡を必要とする距離でもありませんし、偶然の僥倖にその余裕もなかったのかもしれません。車を一時停止させ、見入ってしまいました。鋭い爪を電柱の丸い縁に食い込ませた、鮮やかな黄色の脚がまずもって目に飛び込んできました。そして大きな黄色いアイリングの中に、真っ黒くいっぱいに見開いた虹彩(実際には濃い褐色)。嘴から頬にかけて剃りあげたかのように半円を描いた黒っぽい髭。脚と同じ鮮やかな黄色の、鋭くカーブした嘴。真っ白い腹部に、多く横に短く走る黒っぽい茶褐色の線。これは「ハヤブサ」に見間違いようがありません。大きさからして、オスの成鳥でしょう。(ワシ・タカ類では普通メスの方がオスより大きい)

この鳥は、主に小型の野鳥を、時速300キロとも400キロとも言われるスピードで、空中で襲い掛かり、脚で蹴殺して捕食とするといわれています。名前の語源として、ハヤツバサ(早翅、早翼、速翼)もしくは速羽から転じたとも言われるほどです。さいたま市見沼田圃で、キジバトに襲い掛かるところを目撃できましたが、残念ながらその時の攻撃は失敗に終わりました。捕食の成功の確率はあまり高いとはいえそうもありません。

テレビの番組で、カナダ、モントリオールのダウンタウンのビルに営巣し、ドバトを餌として生活する様子が放映されたこともあります。また、同じような報道がそれ以前にロンドンからも発せられたと記憶しています。ほぼ全世界に住み、日本には留鳥化したものと、秋から冬にかけて渡ってくるものとがいるようです。飛んでいるときの羽の先がピンと一点にとがっているのが、飛翔中の他のタカ類との大きな相違点です。(チゴハヤブサも同じような飛翔中の翼の形をとりますが、一回り大きさが小さい:30cm程)日本では、北は北海道から、南は九州まで、海岸の切り立った崖などで育雛している様子が報じられます。巣作りを自身ですることなくそのままの岩棚や、他の鳥の古巣を利用して産卵するといわれています。

隼は、冬の季語。島村藤村はこう唄っています。

 

鶻羽袖うちふる隼(はやぶさ)は 彩なす雲を舞ひ出でて 翅(つばさ)の塵を払ひつつ 物にかかはる風情なし

ハヤブサを横から見た写真です。

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注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。