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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第29回コゲラ


第29回 2004/4/01
コゲラ

29-300
(27)コゲラ「キツツキ目キツツキ科」
    英名:Japanese Pygmy Woodpecker
    学名:Picoides kizuki
    漢字表記:小啄木鳥
    大きさ:15cm    

日本にいるキツツキの仲間の中で、一番小型のキツツキです。スズメとほぼ同じくらいの大きさですが、地面に降りた姿を見たことはありません。木から木へと飛び回り、せわしないほどに素早く木の幹を下から上へとらせん状に回りながら餌を探します。地声は、「ギィー」とかなり大きな声ですが、餌を探して木をつつく音は他の大型のキツツキほど大きくはなく、十分注意していないと気付きません。地声で鳴きながら、木をつついている音を紹介したサイトを見つけました。
http://www9.big.or.jp/~mishii/bird/kogera.html

最近では、四季を通して市街地の公園の樹木にも飛んでくる留鳥です。落葉広葉樹がお好みのようです。主に昆虫の幼虫、クモなどの動物性の餌をとり、木にとっても内部を食い荒らされる昆虫を除去してくれるガードマンともなっています。背中は白と黒の縞模様で、双眼鏡でよく見ますとなかなか綺麗です。オスの後頭部には左右に小さな赤い部分があるといわれていますが、残念ながら動きが早いせいか、下から見上げるせいか、これまで見たことはありません。

私がみかけた限りでは、インターネット上のどの「コゲラ」の写真にも、この赤い部分を撮影できているものはありませんでした。さすがにプロで、この部分を写した図鑑があります。
・新潮社文庫、叶内拓哉さんの解説付き『日本の野鳥100』(野山の鳥)
・文一総合出版『日本の鳥550』(山野の鳥)
これらにはそれぞれ頭の片方の赤い部分がよく撮影されています。また、
・『日本の野鳥(山と渓谷社)』
では見事にこの見えにくいオスの赤い部分の双方がはっきりと撮影されています。僅かに垣間見える程度の写真です。

  29-2-480  

キツツキの仲間は、他の鳥のように囀りをしません。その代わりに、ドラミングといって、木の幹を一定のリズムでたたくことによって、囀りに代えています。オオアカゲラは、古い仏教寺院の荘厳な扉が開くように、「ギィーー」ととてつもなく大きなドラミングを聞かせてくれますが(最初聞いたときには、これがキツツキのドラミングとはとても思えずびっくりしたものです)、コゲラはその大きさに比例して、「トロロロロ」と低く小さいドラミング音です。
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/~ishiken/graphics/kogera/nest2.jpg

また、他のキツツキと同様、木に穴を掘りそこで営巣します。ただこの穴は、育雛期を過ぎて離れている間に、他の小動物にちゃっかり乗っ取られてしまうことも少なくないようです。つまり、キツツキの木をつつく行為には、木の中の虫の幼虫を捕捉する採餌行為、他の鳥のような縄張り宣言とメスへの求愛宣言を兼ねた囀りの代行行為、それに加えて、育雛用の営巣作業の3種類の意味があるのです。ただ日本に住むキツツキの仲間で、唯一の例外は、「アリスイ」で、このキツツキは木をつつくことはせず、もっぱら木や地上のアリを採っているといわれています。

キツツキは「秋」の季語。コゲラだけを対象とした俳句はないようです。

 
啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々   水原秋桜子
木つつきの孔みまはるや島ごもり  中勘助

ちょっとした公園の林の中で、「ギィー」という声を聞いたら、頭上の木をよく探してみてください。小さいキツツキ、「コゲラ」がきっと見つかることと思います。

注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。