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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第43回コウラウン


第43回 2005/6/01
コウラウン


(41)コウラウン「スズメ目ヒヨドリ科」kouraun1_300
    英名:Red-whiskered Bulbul
    学名:Pycnonotus jocosus
    漢字表記:紅耳鵯
    大きさ:20cm

香港以南のインド、中国南部を含む東南アジア、オーストラリア、ハワイ諸島、モーリシャス及び北米フロリダに至るまで、東西と南北、両半球にまたがって、全世界の亜熱帯地域に生息する、生息域のきわめて広い、ヒヨドリの仲間です。渡りをしない留鳥で、香港ではごく普通に見かけられます。

『日本の野鳥590種(平凡社2001年第2版)』では、日本国内で目撃される可能性のある、「外来種(かご抜け鳥)」としてリストアップされています。私自身は国内で見かけたことはありませんが、国内のいくつかの動物園の野鳥舎で飼育しているところもあるようですから、思わぬかごぬけが出現することもあるようです。台湾での生息例は報告されていないようですから、香港あたりが東南アジアでは北限かもしれません。

山深い森林奥地に棲むのではなく、人里近い開けた林、公園の樹木地域に普通に見ることができます。動きは素早いのですが、例えば香港カオルーン中心部にある九龍公園ではあまりヒトを警戒することもなくかなりの近距離まで近付くことができます。タイトルはその九龍公園で見かけたコウラウンです。

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雌雄同体、成鳥になる以前の若鳥は全体としての色彩がくすんでいます。通常2〜3個の卵を、4月から6月にかけて林の中で営巣、抱卵、育雛するようです。単独でいることは殆どなく、いつも何羽かの群れで行動しています。上の写真をご覧ください(沙田公園にて)。

英文名にある、whisker とは、一般的に頬ヒゲを指しますが、目の下後部に、鮮やかな赤い斑点が目立つことから、 Red-whiskered Bulbul(赤ヒゲヒヨドリ)と英名では名付けたのでしょう。一見して目立つのは、先端がとがった比較的長い冠羽です。日陰に入るとほほの赤い部分は目立ちませんが、この三角帽子はシルエットを見ただけでも他の鳥と見間違えることはありません。また、頬部だけでなく、正面から見ますと尾の付け根の部分、下尾筒も赤いことがはっきり見て取れます。ヒヨドリの仲間は、褐色系統で、色彩的にも、形状的にも地味なファッションなのですが、このコウラウンだけは別格です。色彩、形状ともに目立つのに加え、鳴き声もきわめて高らかで、それもこずえにとまりよく鳴きます。様々なパターンの鳴き声がありますが、「クイープ、クイープ、クイヤー」とでも書き表せるでしょうか。夕方木の一番上にとまったコウラウンです。

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この鳥は、様々なネット上のサイトで、「紅羅雲」と漢字表記されています。「コウラウン」と呼ばれるようになってこの漢字が当てられたのか、逆にこの漢字を「コウラウン」と読み下したのかはっきりしません。ただ中国、香港で出版されている野鳥図鑑では、この漢字は現在使用されていません。表題部分に記しましたように、「紅耳鵯」となっています。和名は通常、その野鳥の属する科、色彩を含めた形状的な特徴、動作的な特徴を採って付けられるようですから、何の意味もない「コウラウン」とは、かなり以前に漢字語文化圏で採用されていた「紅羅雲」の文字を、そのまま日本語で読み下し、それが和名採用となったと考えるのが妥当かもしれません。

香港へ旅行、出張される方がいらっしゃれば、是非一度カオルーンパークへ足を運ばれてください。最も派手に鳴いている、三角帽子をかぶった鳥がコウラウンです。

注:写真は、画像上をクリックすると拡大します。