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第71回 2006/09/01

今日から9月。毎夕の日暮れの時間の早さに気付く頃となりました。しかしまだまだ真夏日が予測される今月の上旬です。残暑、お見舞い申し上げます。

今回、全国高校野球選手権大会(第88回夏の甲子園大会)が、決勝戦を再試合するという劇的な幕切れで日本中の注目を集めた夏でもありました。皆様、この夏の期間どのように過ごされましたでしょうか。学生の皆さんにとっては、夏休みも終わり、新たな思いで学業に取り組まれることでしょう。社会人の皆様にとっては、はや年末へと向けて各企業、団体の新たな課題に取り組まれていらっしゃるのではないでしょうか。

先月は、私どもが輸入販売しております、ウイーンアコースティック社の、モーツァルト生誕250周年記念モデル、T−2G LTD.を紹介させていただきました。業界報道機関に事前にサンプルを提示する余裕もないまま、まさにぶっつけ本番で発売に踏み切った次第で、この製品が公に評価、報道されるのは今月中旬以降になることと思われます。当ホームページをご覧頂いていない皆様には、これからのお目見えとなります。

一部のディーラー様に展示いただいたのみであり、また雑誌報道がまったくなされていないにもかかわらず、一部の方々には大変な好評を博すことができており、大変うれしく思っております。同社の最新製品ラインアップの中では、T−3Gが最も音質的に優れていると私は感じておりますが、残念ながら、通常の日本の室内環境ですとわずかに大きすぎる嫌いがあります。それに比べまして、T−2Gは平均的な日本の部屋におそらく何の問題もなくマッチする筐体の大きさです。日本家屋に適切な大きさをもったT−2Gが、T−3Gの音質に向けてリニューアルされているのが、T−2G LTDの大きな特徴で、その点がわずかな方にしか紹介させていただいてないにもかかわらず、直ちに好ましいご評価を頂いた理由ではないかと考えております。はやお買い求めいただきました皆様には、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。設計者のピーター・ガンシュテラー(オーストリア・ウイーン在住)も、日本での好調な滑り出しに大変喜んでおります。まだお聴きいただいていない皆様には、最寄りのオーディオ専門店様にお問い合わせいただければ幸いです。

ところでこの夏、にわかに注目を集めているのが、デジタル一眼レフカメラ業界です。ご存知のように、デジタルカメラの普及と絶え間ないその技術的な向上と、一途をたどる廉価化への追求が進んできました。こうしたなかで、フィルムカメラは凋落の一途をたどり、ついに本年、伝統的なカメラ業界の一方の雄であったニコンでさえフィルムカメラの製造販売を中止、コニカミノルタはカメラ業界から撤退する一方、新たに電機業界のソニー、そして松下電器がデジタル一眼レフ業界に参入してきました。これらすべてがこの数ヶ月で起こったことですから、世界のカメラ業界を席巻してきた日本での電撃的な変化の嵐には、世界中のカメラ愛好家も驚いていることでしょう。

デジタル一眼レフカメラを愛用している立場として、どうしても理解できないことがあります。この業界には、残念ながら業界共通標準が存在しないことです。当然のことながら、カメラは本体とレンズの組み合わせでしか機能しません。しかしそのマウント(レンズをカメラに取り付ける方式)がメーカー数だけ存在する。その状態が、カメラが製造され始めて以来今日に至るまで、延々とそのまま継続されているのは、なんとも不可思議なことに思えます。伝統的なフィルムカメラの時代であれば、手先の器用な職人芸で、たとえばキャノンの本体に、一般的には装着できないニコンのレンズを加工して搭載させることは理論的には可能であったかもしれません。残念ながら、現在のデジタル一眼レフカメラでは、メーカー間の異なる本体とレンズの組み合わせは物理的には可能であっても、電子制御装置が相互に作用することからこれでは撮影不能です。

かつて電機業界では、ビデオ録画方式をめぐって、ベーター方式とVHS方式の大きな対立がありました。決着がつくまでの市場の混乱を、今回は未然に防ごうとした、デジタル画像録画方式も結局合意に到達できず、HDD方式とブルーレイ方式は、市場に最終結論を委ねてしまいました。双方並び立つことは考えられず、おそらくどちらかが凱歌をあげるか、双方録画再生可能な新たな方式が生み出されるか(その可能性はきわめて低そうですが)でしょう。しかしいずれにせよ時間が決定することです。

残念ながら、一眼レフカメラのマウントに関しては、不思議なことに、統一化へむけた動向もそれへの要請の声も、どこからも聞こえてきません。あまりにも単純な要求でありすぎ、検討に値しないのでしょうか。素人デジタル一眼レフ愛好家としては悩むところです。

さて、未だ残暑は続きますが、おそらく今月も半ばを過ぎると急に秋風が立ち始めることでしょう。朝晩の虫の声にだけでなく、ご自分の身体の変調を訴える声にも敏感になってお過ごしください。