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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第22回カワセミ


第22回 2003/9/02
カワセミ

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(20)カワセミ「ブッポウソウ目カワセミ科」
    英名:Common Kingfisher
    学名:Alcedo atthis
    漢字表記:川蝉、翡翠
    大きさ:17cm     

おそらく、日本人であれば大部分の大人が知っている、「空飛ぶ宝石」とさえ呼ばれるカワセミ。日本全国、それも大都市の、池のある公園にまで四季を通してみることのできる、コバルトブルーの、スズメより少し大きな、しかしスズメよりかなりスマートな形をした水辺の野鳥です。冬場に水辺が氷結する北海道では、夏鳥に分類されるようです。

小型で、動作が素早い。また飛翔も決して遅くはない。従って、撮影の難易度は決して低くない。しかし、一年中近郊で見ることができるうえ、大体捕食しようと餌を待ちうける場所と時刻は大体決まっている、しかもとても派手な綺麗な配色の姿のため、野鳥を撮影することの好きな方には、格好のターゲットです。野鳥撮影教室があるとすれば、入門編の上級クラスの対象ともいえます。

普通、移動には水の上を、それも大体30cm程度の高さを直線的に飛びます。この時、シィーともツィーとも取れる声を出しながら飛びますので、水辺を歩いていてこの声を聞いた時には、是非水面をご覧ください。あっという間に飛び来り、飛び去っていく羽の生えたスマートなオパールを見かけることでしょう。雌雄を羽の色で見分けることはそう簡単ではないようですが(コバルトブルーの強い方がオスとされます)、嘴を見ればすぐに判ります。両嘴ともに黒いのがオス、下嘴の赤いのがメスです。最も求愛時期に、餌を与えているのがオス、受け取っているのがメスという双眼鏡を使わなくても判る識別法もありますが。下は、オスの写真です。

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一般には、中・北部ユーラシア全域に生息とされますが、ニュージーランドでも普通に見ることができます。水中の餌を採餌する際は、アジサシの仲間と同様、嘴から水に直線的に突っ込んでいきます。水辺の杭や、小枝からダイビングしたり、ホバリングした後ダイビングしたり、一様ではないようです。餌の小魚を捕らえた後、それがあまり小さかったり、咥え方がまったく餌に動く隙を与えないときにはそのまま飲み込みます。 餌がまだ動いている時には、尾の少し上の部分を咥え、頭を何かに打ち付けてから飲み込みます。餌のクチボソを加えたカワセミが竹薮に飛び込み、その頭部を竹に撃ちつけたときに静かな空気に小さく妙に長く響いた「コーン」という音。見沼田圃、見沼代用水東縁のトラスト1号地でたまたま立ち会った忘れがたい経験です。

カワセミの交尾に出会いました。

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カワセミの名称は、川の辺に住むことからカワスミ、それが転化したものといわれます。しかし宝石のヒスイに当たる漢字、「翡翠」は、この鳥がヒスイのように綺麗であることから当てられたとする説明が多いようですが、どうもこれは間違いのようです。中国では、この鳥のオスを翡、メスを翠と呼び、宝石のヒスイもこれを当て、翡翠としたようですから、この鳥の方が宝石の名前を決めたようです(俳句の鳥、創元社)。

一年中とどまっているカワセミですが、俳句の上では夏の季語です。涼やかな色彩がそうさせたのではないでしょうか。

 

川せみの 狙い誤る 濁りかな   正岡子規
翡翠の 掠めし水の みだれのみ  中村汀女

注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。