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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第23回シラコバト


第23回 2003/10/01
シラコバト
タシギ

シラコバト(写真アップ2009年12月1日)

(21)シラコバト「ハト目ハト科」
    英名:Collared Turtle Dove
    学名:Streptopelia decaocto
    漢字表記:白子鳩
    漢名:斑鳩
    大きさ:33cm
    
写真参照:http://www1.u-netsurf.ne.jp/~khag/sirako.htm

わが埼玉県のシンボル鳥です(ちなみに県の花はサクラソウです)。限定的に、埼玉県越谷市を中心に生息していることから県のシンボルに選ばれたのでしょう。また国の天然記念物に指定されてもおります(絶滅危惧II類<VC>)。

私自身で見かけたのは、さいたま市・見沼田圃、川口市(県南部)、小川町(県北西部)、羽生市(県北東部)とかなり県内の多方面にわたっています。埼玉県外にも生息するとの情報がありますが(例えば渡良瀬川流域)、埼玉県に隣接した関東平野一円に限られているようです。

ドバトやキジバトに較べて小さく、体型もよりほっそりしています。また、体全体が白っぽい灰褐色で、頸の後ろにはっきりと黒い線が入っていますので他のハトと見間違うことはないはずです。図鑑によりますと、世界的な生息圏は広く、モンゴル・中国大陸からインド、イラン、小アジアそして近年欧州全域に及ぶようになったようです。わが国には、江戸時代にインドから移入されたとする説がありますが、生息圏からするとうなずける話です。

明治に入るまでには、関東一帯にかなりその生息数を増やしていったようです。昭和10年頃には、100平方メートルに10羽から15羽の繁殖数が越谷では確認されたといいますから、おそらく数千羽を超える個体数であったことが推測されます。しかし第二次世界戦争後、濫獲や生態系の激変によると思われますが急速にその数は減少し、昭和23年の調査で60羽、またその6年後の調査では20羽前後にまでなったとのこと。驚異的な激減ぶりです。この段階で、天然記念物の指定がなされ、その後少しずつながら増えていき、現在では2,000羽程度には回復していると思われます。

このシラコバトに限らず、ハト類に独特な特徴として、動物性食物を一切とらないことがあげられます。依存度の大小は別にして、多くの野鳥は動物性タンパク質を、昆虫、同じ鳥類、小型爬虫類などから採るのですが、ハトの仲間は、穀類、果実類などの植物餌にだけ依存しているのです。そこで、育雛期に必要とされる動物性タンパク質を、親の体内でピジョンミルクを作り出し、口移しで与えているといえます。通常ミルクといいますとメスだけが与えるものと感じますが、ハトは雌雄ともども、食道に連結した「そ嚢」と呼ばれる貯蔵器官でこの特別なミルクを作りだし雛に与えるのです。他の野鳥では、育雛期が動物性の餌の確保ができる時期に限られてくるのに対して、ハトは、どの季節でも子育て可能であるのも、この特別なミルクを親がそろって与えることができるためです。

また、これはあまり多くの方が気づいてはいませんが、ハトだけが水に嘴を差し込んだまま飲みこむことができるのです。例えば、ニワトリやセキセイインコの水の飲み方を見てください。一旦嘴で水を一定量飲みますと、嘴を真上に上げその水を喉に流し込んでいる姿を思い浮かべることができるでしょう。

ハトは、ある意味で「平和のシンボル」として全世界の人々に認知されています。その理由のひとつに、旧約聖書にあるノアの箱舟から真っ先に新たな世界を報告したハトが描かれていることが語られることがあります。しかし、それ以上に、子育てにミルクを与え、ヒトなみに水を飲み込めるハト独特の特性が他の鳥以上に、ハトをヒトに近い存在としての親近感を抱かせているせいではないかとも思えるのです。

このシラコバトの鳴き声は、キジバトに較べるとかなりかわいらしいものです。カタカナ表記するよりも次のサイトで確認いただいた方がよさそうです。
http://homepage3.nifty.com/shirakobato-network/menu/natureintro.html

埼玉県に来られたら、このかわいいシラコバトを探してみてください。田園風景の中に、養鶏場があればその側の電線に止まっているかもしれませんよ。