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タイトル


第32回 2004/7/01
ウソ

32-300
(30)ウソ「スズメ目アトリ科」
    英名:Bullfinch
    学名:Pyrrhula pyrrhula
    漢字表記:鷽
    大きさ:16cm

水辺の鳥、山野の鳥と分けるときには、山野の鳥に分類される、中部地方以北に生息する山の鳥です。留鳥でもあり、地方によっては冬場に飛来する漂鳥。嘘、本当のウソではありません。鳴き声からこの名前が付けられたようです。「フィー、フィー」と大きく遠くまで届く声を口笛と聞きなし、口笛を吹くの意味の古語、「嘯く(うそぶく)」があてられたもののようです。

スズメよりわずかに大きく、シルエットでは全体が太って見えるため、実測以上に大きく見えます。英名の「Bullfinch」の「Bull」とは雄牛が原意、そこから大きなという形容詞的な意味を取り入れたものと思われます。雌雄を問わず、頭がクロ、灰色の太い翼帯、腰部の白が目立ちます。(幼鳥にはこの頭部のクロがありません)それ以上に、この鳥(オスだけですが)の外見上の特徴は、何といっても頬から喉にかけての鮮やかな紅色です。古来、この桃色とも言われるきれいな頬から喉にかけての色鮮やかなオスを「てりうそ」もしくは「あかうそ」とも呼び、これに対してこの紅色の部分のないメスを「くろうそ」、「あまうそ」と呼んだようです。しかし、この鮮やかな紅色が胸にまで及ぶ、学名「アカウソ」という亜種がいますので、古来の日本名は紛らわしいといわざるを得ません。下が、アカウソの写真です。
http://www1.harenet.ne.jp/~satoyama/birdw_003/file/02saitoh/005.html

ウソの番(つがい)です。雌雄の違いがお分かり頂けるでしょう。

32-2-450

埼玉県県下には、東秩父から秩父市に入るのに、桜で有名な定峰峠があります。定峰を秩父市方向に下ったところにある、美の山公園と並ぶ桜の名所です。その定峰峠が20年ほど前、まったく桜が咲かなかったことがありました。地元の人の話ですと、その年の2月下旬から3月にかけて、ウソの大群が連日押し寄せ、桜のつぼみをほぼ全滅させるほどに食べてしまったからとのことでした。その翌年には、無事例年通り咲いていましたので、このような規模での「災難」は毎年のことではなかったようですが、その他の情報からも、冬場、ウソが桜の蕾を好むことは事実のようです。それも、ソメイヨシノが好みのようで、ソメイヨシノ以外の蕾の被害は今のところ聞いたことがありません。また、ガの幼虫、昆虫、クモ類も食するといわれています。

ウソは、春の季語です。

 

鷽の来てあけぼのの庭に胸赤し  水原秋桜子

ちょっとした山奥にはいたとき、耳をすませてみてください。「フィー、フィー」と明瞭な高い声が聞こえてきましたら、それがウソです。比較的枝先にとまることが多いので、喉が紅色のちょっと小太りのウソをみることもできるでしょう。

注:写真は、画面上をクリックすると拡大できます。