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ホーム/コラム/徒然野鳥記/第46回ダイサギ


第46回 2005/9/01
ダイサギ

(44)ダイサギ「コウノトリ目サギ科」daisagi1_300
    英名:Great Egret
    学名:Ardea alba
    漢字表記:大鷺
    大きさ:90cm

秋めいてはきましたが、まだ暑い夏が続いています。水辺の鳥、ダイサギをご紹介しましょう。

いわゆる「白(シラ)サギ」の仲間の中ではもっとも大きな種類です(ダイサギ以外に、コサギ、チュウサギまた時としてアマサギもシラサギの仲間にカウントされます)。大きさの順は、ダイサギ>チュウサギ>アマサギ>コサギとなります。胸までつかることはない程度に浅く深く、水辺をゆっくりと歩き、カエルや魚、エビなどをかなりダイナミックに捕食します。このような抜き足差し足で注意深く歩くサギの動きを称して、「鷺足(ろそく)を使う」と昔の人は語りました。ちょっと大き目のフナなどの川魚がダイサギの嘴からはみ出して捕獲された姿をよく写真で見かけることがあります。

また、サギの白さと、カラスの黒さをもじった、「烏鷺(うろ)の争い」とは、黒石と白石で戦う、囲碁の勝負のことや、白黒決着をつけるべき争いのことをさします。こうしますと、カラスと同様に古い時代からサギが人々の生活に親しんできたことがうかがえます。

どうも、もともとサギとは白サギを指したようです。『字通』によりますと、鷺の説明を古書『説文』では、「白鷺なり」としていると書かれています。また『韓詩章句』では、「潔白の鳥なり」とされているようですから間違いないことでしょう。万葉、奈良の時代には、サギと対比して詩歌に詠まれたのが、アオサギやゴイサギだったようですが、その後安土桃山時代にダイサギがサギから区別され、下って江戸時代にチュウサギ、コサギがさらに区分されるに至って、白サギが集団名詞となって行ったのではないでしょうか。万葉に白鷺とでてくるのは、サギの白さをことさらに強調するためだったように思われます。

サギ類はコウノトリ目(Ciconiiformes)に属していますが、面白いことに正式には、白サギ集団のうち、ダイサギはアオサギ属(Ardea)に、他のチュウサギ、コサギはシラサギ属(Egretta)に属しているようです(『世界鳥類和名辞典』平成5年第3刷)。ダイサギの学名を「Egretta alba・シラサギ属」としたインターネットのサイトで見受けることがありますが間違いではないでしょうか。

このダイサギは、他のシラサギに比べてちょっと面白い亜種構成をしています。実はこの鳥、一年中水辺の同一場所にとどまっているように見えますが、二つの亜種が同一場所に交代に出現し、それがよく似ているため、ずっとその場に留まっている「留鳥」と間違われることが多いようです。日本で繁殖する集団は、夏鳥として春に飛来し、繁殖期(4〜6月)を終え、冬になると南方に移動します。ただ、その一部はそのままとどまることもあるようです。この集団は、亜種チュウダイサギと呼ばれます。

このチュウダイサギより大きい、特徴の酷似した集団がシベリアなどの北方から、冬鳥として渡来します。この集団を、亜種ダイサギ、もしくはオオダイサギと呼んでいます。オオダイサギですと、漢字で、大大鷺となってしまいますので、私としてはこの亜種を単純にダイサギと呼びたいところです。以下この呼び方で亜種区分していきます。

冬場には、南方に戻らなかったチュウダイサギと、北方から来たダイサギが同一の場所に混在することもないわけではありません。この両亜種の違いはまず大きさで、アオサギを標準として、アオサギと同じかより大きい亜種がダイサギで、アオサギより幾分小さい亜種がチュウダイサギです。ダイサギ≧アオサギ>チュウダイサギという順の大きさです。ダイサギもチュウダイサギも、雌雄同色ですが、同じように冬羽と夏羽で色合いが変わります。その違いを見てみましょう。

まず冬羽ですが、両亜種とも嘴は黄色です。この点での区別はつきません。しかしチュウダイサギは脛が黒色か淡黄色で、脚の先、趾蹠は黒色です。上のタイトル写真の飛翔する個体は、亜種チュウダイサギです。これに対して、ダイサギは、脛は淡黄色、もしくは黄色で、趾蹠もまた同色で、脚全体に色彩の変化はありません。ですから、冬時、脚の先を見ればこの二亜種の区別はつくことになります。下の写真は、 冬場、自宅近くの埼玉県秋ヶ瀬公園で撮影した亜種(オオ)ダイサギです。

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次に夏羽です。両亜種とも嘴は黒色に変化し、繁殖期を迎えると眼と嘴の間の青緑色が濃くなってきます。これを婚姻色といいますが、眼も虹彩に赤っぽさが入ってきます(赤橙色)。しかし繁殖期に入ってしまうとこの婚姻色の特徴は薄れてくるようで、虹彩はもとの淡黄色に戻っていきます。また、繁殖期を過ぎますと、嘴は黄色に戻ります。夏羽の時期、両亜種の違いはやはり脚の色に表れるようです。チュウダイサギは黒っぽい脚全体にピンク色が淡く乗ってくるようですが、ダイサギでは、黄色っぽい脚全体にこのピンク色が乗っているような印象を受けます。しかし、個体差はありますし、繁殖前、繁殖中、繁殖後の色彩変化という要因が入ってきますので、どうも夏羽では、これといった決定的な区分ポイントを挙げることが困難なようで、アオサギを目処に大きさを基準とすることが一番安易な区別方法かもしれません。
下は、夏、東京都葛飾臨海公園で撮影した亜種チュウダイサギで、ほぼ完全な婚姻色となっております。

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さてこのダイサギを含むシラサギは、夏の季語です。
 
白鷺の長き飛翔をみな終わる    山口誓子
白鷺の羽摶ちや呼ぶごと拒むごと  中村草田男

 

 
西へゆく白鷺なれや車窓ぞい  中村草田男
白鷺の佇つときほそき草掴み  長谷川かな女

万葉集にもシラサギが歌われています。

 
池神の力士舞かも白鷺の桙啄(ほこく)ひ持ちて飛び渡るらむ  長奥麻呂

ダイサギを見かけましたら、チュウダイサギなのか、(オオ)ダイサギなのかを観察してみるのも面白いですよ。

注:写真は、画像上をクリックすると拡大します。